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トライク

 先日、新型コロナウイルスの猛威が少し収まった間隙を縫って、トライクでツーリングに行ってきました。「トライク」といっても、「何それ?」という方が多いかもしれませんが、アレです。「引かぬ!媚びぬ!顧みぬ!」の方が初登場されたときに、部下に運転させて、自分は後席で片肘で頬杖をついて不敵な笑みを浮かべていた、あの乗り物です(伝わる人が限られていて、すいません)。私が乗ったのは、あんなふうにトゲがいっぱい生えているようなものではなく、ちゃんと公道を走れるこういうものです。もちろん、購入したのではありません。レンタルです。
 
 そもそもは、つれあいが「トライクに乗ってみたい」と言い出したのが始まりでした。トライクというのは、二輪ではないので、クルマの普通免許で乗れるのです。マツダ(旧東洋工業)のこれと同じような扱いなんですかね。そこで、ささっとwebで検索してみたところ、わりと近所にレンタルできる店(日本初!)があるようで、どれどれ、とその店に行ってみました。実物があったので、跨がってハンドルを持ってみると、かなりサイズが大きく、普段、大型二輪に乗っている私でも、取り回しは結構、苦労しそうだな、と感じるものでした。
 
 つれあいは、後日、何回か1、2時間でレンタルして、そのお店の人から講習をうけ、その週末に、私と子供らが後ろからクルマでついていって皆で一泊ツーリング、という計画でした。ちなみに、私自身、それほどトライクに興味はありませんでした。トライクは、まったくバンク(車体が傾くこと)しないので、スポーティさに欠けるイメージがあったのです。
 
 ツーリング初日、つれあいが、まず少し練習して勘を取り戻そう、ということで、そのお店の人が子供らを見ていてくれる間、私が後ろに乗って、練習できる場所(道路を挟んで駐車場の反対側)まで移動することになりました。しかし、いつまでたっても駐車場から公道に出られない。そもそも発進しない。ガッスン、ガッスン、エンストするばかり。業を煮やして、私が運転を交代して、練習できる場所までトライクを運んだのですが、その練習できる場所でも、セルモーターを回して、クラッチをつなぐたびに「ガション!」とエンストして、発進しない。「もう、諦めなさい。」と冷ややかに私が言うのを尻目に、しつこくしつこくエンストを繰り返して、私からスパルタ指導を受け、45分以上練習してようやく、一応、なんとかなりそうなところまでになりました。しかし、とてもじゃあないけれど、発進&停止の多い街なかでは載せられないレベルでしたので、広い田舎道につくまで、私が運転しました。なお、ツーリングのコースは、普段、私が二輪でツーリングするルートの中で、もっとも道幅が広く、コーナーが緩やかで、登り下りも緩やかなルートを選びました。宿泊地は、そのルートで、普通なら1時間半程度で行ける距離の目的地としました。
 
 街なかと、高速道路と、道幅が広くなるまでの山道の行程を、私が引き受けたのですが、乗ってみると、これは、大変な乗り物ですね。つねに路面のつぎはぎを拾って、ドカドカドカドカ揺れます。二輪の場合、バンクさせてコーナリングする限り、前輪と後輪の内輪差はそれほど大きくないので、凹凸の少ないところを選んで前輪を通せば、だいたい後輪も同じところを通り、穏やかに走ることができます。しかし、トライクの場合、前輪とはまったく違うところを後輪二つが通りますので、また、車幅がありますから、限られた道幅の中でコース取りを選ぶ余地もあまりなく、常に三輪のどれかが路面のどこかのつぎはぎを拾うことになります。もともとドカドカ揺れるというイメージのハーレーのエンジンについては、さすが最新型のミルウォーキーエイト114エンジン、爆発の揺れはそれほど激しいものではありません。しかし、車体自体は、常に路面の凹凸を拾って、ドカドカドカドカドドドドドと、揺れつづけます。まるでオフロードを走っているよう。ノリは、北斗の拳の聖帝軍とか、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で吊したギタリストがギターの先から火を噴きながら荒野を大音響で爆走するあのトラックとか、ですね。脳内BGMは、TOM★CATの「TOUGH BOY」で決まりです。なお、帰りの行程では、実際にiPhoneに曲をダウンロードして、ヘルメット内に仕込んだインカムで聞こうとしたのですが、インカムではなく、レンタル開始時にペアリングしたバイクの方に繋がってしまい、バイクのスピーカーから音が流れてしまうので、さすがに「TOUGH BOY」を周りに聞こえる音量でかけながら、トライクでドドドドドと、爆走するのは恥ずかしすぎ、聞くのを断念しました。
 
 さて、行きの行程では、道幅が広くなってからはつれあいに交代して、クルマの方を運転したのですが、「いやー、クルマって、ほんっとうに、穏やかな乗り物ですね(笑)」(CV水野晴郎)と感じました。といいますか、四輪のサスペンションができるならトライクのサスペンションもこのくらいの仕事しろよ、という話です。しかし、ということは、このトライクでは、意図的にそういう味付けにしているのであり、少なくともハーレーのトライクは、それを楽しむ乗り物ということなのでしょうね。
 
 翌日の帰り道に、コンビニによっていると、横の道を、トライクの集団が走ってきて、信号待ちしていました。それらはいずれも、かなりカスタムされたもので、流線型の白いカウル(ボディの覆い)にファイヤパターンがついているものなどもありました。皆さん、ちゃんとヘルメットをかぶっているので(法律上は不要)、お一人づつの顔は見えず、また、コンビニの駐車場がかなり広く、離れたところからしか見えませんでしたので、全体のイメージとしては、かなり聖帝軍に近いものがありました(個人の感想です)。あれは、ちょっと、一般の人は近寄りがたかろう(笑)、もしかして、1台で走っている自分もそう見えるのかも、と改めて思うのでした。[ K.H ]

 

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投稿日:2021年11月30日