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耐久レースと人生

 自動車のレースと言えば、日本ではF1、スーパーGT、スーパーフォーミュラーが比較的知られているレースであるが、本場のヨーロッパでは、耐久レース(WEC)や市販車ベースのツーリングカーレース(WTCC)、更には一般道を走破するラリーレース(WRC)が人気を博している。車文化の違いをつくづく感じます。何と言ってもモータスポーツのカテゴリが明確に存在しますから。
 
 現在のWECの最上位カテゴリであるLMP1には、自動車メーカー直系のワークスチームとして、トヨタ、ポルシェ、アウディが参戦している。これら3メーカーのレースカーはいずれもハイブリッドシステムを搭載しており、技術的にもかなりハイレベルな争いが繰り広げられている。中でも、ハイブリッド技術に長けているトヨタは、ハイブリッドシステムにおいて、ライバルに比べて当初から高いエネルギー回生効率を実現していた、という記事を記憶している。
 耐久レースの代名詞と言えば、やはりル・マン24時間レースであろう。24時間という長丁場を、平均速度200km/h超の速さで、他車との接触やコースオフ、マシントラブルなく走りきるのは並大抵なことではないことは想像に難くないが、今年のル・マンは、その困難さを再認識させられたレースであった。日本勢では、過去にマツダが総合優勝を果たしているが、その後は、優勝から遠ざかっている。
 今年のル・マンは違った。トヨタ勢が序盤からレースをコントロールし、終盤まで危なげないレース運びを展開した。レース終了近くで、2位を走行していたポルシェ車が2位を堅持するためにピットインしたので、これで今年は優勝確実と興奮していた所、残り約5分のタイミングにて、1位走行中のトヨタ5号車が突然スローダウンしてしまった。ターボチャージャーとインタークーラーとを接続するダクトに不具合が発生し、ターボ制御を失ってしまったとのことである。2位を走るポルシェ陣営が既に優勝を諦め、99%(23時間55分/24時間)を走りきった所で、このような幕引きが待っているとは思ってもいなかった。
 
 余りにドラマティックな幕切れに、自分のこれまでを振り返ってみた。何度かピットインして不具合箇所を修復することはあったものの、一応、現在の所、コースに復帰して走り続けられている。しかし、年齢的にもそろそろ、父親が思いがけずレースからリタイヤした中盤から終盤に差し掛かりつつあることを考えれば、各パーツも疲労してきているであろう。人の場合、パーツを交換することはできないので、不具合の予知や予防に努めるしかない一方で、不可避な出来事もある。今年のル・マンは、人生を順調に歩んでいても思いがけないアクシデントに遭遇する可能性と、人生を歩んでいる限り諦めてはならないこのと大切さとは表裏一体であることを表したレースであったと感じた。[ Yo.I ]

 

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投稿日:2016年07月19日