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事務所に入ったきっかけ

 以前にこのトピックスのコーナーで「特許に携わるきっかけ」という記事を書いたので、今度は、この事務所に入ったきっかけについて書こうと思います。
 社会人1年目も終わろうとしている頃に思いがけずメーカーの開発部門から知財部に異動したのですが、異動後に、そのときすでに転職が決まっていた先輩から最初に教わったことは、(1)特許事務所というところに仕事を依頼していること、(2)特許事務所には弁理士という人がいること、(3)弁理士という人は「先生」と呼ばれていること、でした。また、特許の検索にはパトリスというシステムを使う、とのことだったので、パトリスでの検索を日々練習しました。このパトリスというシステムは、モデムを使って通信を行うため通信料がかかるだけではなく、検索する毎に従量課金されるシステムで、無料で何でも検索できる現代のシステムとはまったく思想が異なるシステムでした。
 当時、私が勤めていた会社は、年間数件しか特許出願をしていなかったので、そのとき引き継いだ仕掛かり中の業務といえば、ある商標の拒絶理由通知に対する対応でした。もちろんそのときの私には何がなんだかわからなかったので、とりあえず、その通知の送付元の事務所に、「意見書案っていうものを送ってくれる、って書いてありますけどいつもらえるんですか?」というような電話をかけ、「まだ期限まで1週間ありますのでちゃんとやるのでもう少々お待ち下さい。」というような返事をもらったことを覚えています。
 それからしばらく、パトリスの練習や、歴代の前任者が残していった書類の整理、技術契約書の法務部への橋渡し、など、忙しいのか暇なのかよくわからないことをやっているうちに、また、違う事務所から商標の拒絶理由通知書が届きました。その商標はその会社にとってかなり重要な商標で、知財部っていうのは結構大事な仕事をしているんだな、とそのときはじめて思えたように覚えています。ただ、その商標に拒絶理由通知が届いたということは、当時の私だけではなく、会社にとっても重大な事件であり、直属の上司(開発部の次長)を超えて、法務部の部長から、「どうなってるんだ!?」というような連絡がありました。結局、その部長といっしょに担当の特許事務所を訪問することになったのですが、その事務所がこの明成国際特許事務所でした。結局、会社の業務とは無縁な指定商品を1つ削ればOK、という今思えば何のことはないとても簡単な話だったのですが、弁理士っていうのはすごい人だ、という印象をなぜかそのときとても強く持ちました。
 それ依頼、商標だけではなく、特許出願や無効審判、侵害訴訟、など、いろいろな場面で明成には助けてもらい、おんぶにだっこのような感覚で仕事を依頼していました。そんな中、当時の所長の弁理士Sさんと東京の弁護士事務所へ行く途中、
「Iさん(私のこと)は弁理士試験は受けないのですか?」
というような話になり、
「受験勉強ってかなりの費用がかかるって聞いているので、そんなお金は・・・」
と特に考えもなく答えたところ、
「貸しましょうか?」
と自分のところの所員でもなんでもない私におっしゃって頂きました。それ以来、その言葉がずっと心に残り、結局、その数年後に明成が人材募集をしていると知り、すぐに応募して今に至ります。
 明成に入って、その所長から個人的にお金を借りることはなかったのですが、事務所からは受験勉強の援助は何年にも亘って受けたので、「貸しましょうか?」という話は実際に現実のものになりました。
 今年でこの事務所に入って15年になります。受験生時代に受けた援助の返済がもう終わっていればいいなと思っています。[ Yu.I ]

 

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投稿日:2016年09月13日