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サラ・ブライトマン

 昨年末、つれあいに誘われてサラ・ブライトマンのクリスマスコンサートに行ってきました。最初に誘われたときは、「サラ・ブライトマン? 名前くらいは知っているけど。歌のうまい人やろ? いまいくつや(声出るのか)?」くらいの感じで、たいして乗り気でもなかったのですが、「サラ・ブライトマンだよ? 行こうよ。」と強く誘われて、行ってきました。
 
 しかし、行ってみると、幕が上がった直後のAve Mariaからすごかった。もう、彼女から放射状に発せられる、目に見えない光が、観客も会場も何もかもを突き通すような感じで、一気に引き込まれました。そして、ベテランだけあって、なのかどうか、どこにも力みがない。「ああ、ここはきばらはりましたなあ。」とか、「ここは、ええ感じに力抜いて流がさはりましたなあ。」(<ちょっと意地悪な京都弁(笑))みたいな感じが見て取れない。「隅々まで完璧」というピンと糸が張った感じではなく、ゆらぎもあるのですが、どの歌も底にゆったりとした余裕が感じられて、それでいて聞く者を引きつける。「この感じは、何かに感じが似ているなあ。」と思ったのですが、あとになって、昔、雑誌「サライ」で見た書、蘭亭序に感じが似ていることに思い当たりました。雑誌自体はもう処分してしまったので、どの模写だったのか分かりませんが(東京国立博物館が持っているものでしょうか)、そのときも素人ながら、「これは、すごいものだなあ」と思いました。
 
 そして、こういう、生身の一人のひとが観客、会場のすべてを支配する感じは、私がこれまで見た中では、俳優の平幹二朗仲代達矢にも、感じたことがあります(すいません。歌手には疎いもので)。
 
 そして、後半盛り上がったのが、ミュージカル「The Phantom of The Opera」からの何曲か。「Angel of Music」など。サラ・ブライトマンの歌唱力と、迫力ある旋律、演奏、演出、そしてこれもうまい相方で、大変盛り上がったのですが、「なんでこんなに「The Phantom of The Opera」の曲に力を入れてるのだろう?」とも思いました。
 
 「The Phantom of The Opera」は、昔、アメリカにトレイニーに行っていたときにニューヨークのブロードウェイで見て感動し、自分の中で飛び抜けて高評価のミュージカルです(ちなみに、学生時代、大阪で劇団四季版も見ています)。ブロードウェイでの舞台は、もう、ファントムとクリスティン(ヒロイン)の歌の掛け合いをずーっと聞いていたい、と思ったくらい引きこまれました(その二人と、マダム・ジリーの俳優さんが飛び抜けて歌がうまかったのです)。その後、すぐにCDを買って、むこうでも、日本に帰ってきてからも、クルマの中で何度も何度も聴きました。今でもよく聞きます。どのくらいよく聞いているかというと、後年、古くなってきた自宅のクルマのカーオーディオに、BluetoothでiPhoneから音楽をとばして聞けるガジェットを導入したときに、それを経由して「The Phantom of The Opera」の曲を聞いてみたところ、「音が違う。こんなの「The Phantom of The Opera」じゃない。」と感じて、「The Phantom of The Opera」はクルマのCDチャンジャーに入れっぱなしにして聞いていたくらいです(その後、より高音質の規格に対応したBluetooth機器を導入し、今は、どれもそれでよしとして聞いています)。ちなみに、購入したCDは、イギリスでの初演時の舞台を収録したもので、ブロードウェイで見た舞台よりも滑舌がよく、ファントムはもっと外連味がある感じの歌い方です。
 
 過去に連れ合いに付き合って行ったいくつかのコンサートの中では、別格といえるほどに、予想を覆してよかったので、帰りの電車の中でスマホでサラ・ブライトマンについて調べてみました。そのとき初めて知ったのですが、サラ・ブライトマンは、ミュージカル「The Phantom of The Opera」の作者、アンドリュー・ロイド・ウェーバーのもと嫁はんで、「The Phantom of The Opera」のヒロイン、クリスティン・ダーエは、アンドリュー・ロイド・ウェーバーが、彼女のために作った役なんですね。もちろん、初演時には、サラ・ブライトマンがヒロイン、クリスティン・ダーエを演じています。どおりで、Angel of Musicなど、超絶、うまいはずだ。
 
 というわけで、最初につれあいから誘われたときは、「サラ・ブライトマン?名前くらいは知っているけど?」だったのですが、実は、自分は、ものすごく繰り返し彼女の歌を聴いていた、いわば大ファンであったという事実が判明したのでした。ちなみに、私が「The Phantom of The Opera」よりもたくさん繰り返し聞いているアルバムのアーティスト(?)は、桂米朝だけです。もっともこちらは、アルバムの数が1枚ではなく膨大ですが。[ K.H ]

 

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投稿日:2023年02月07日