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デジタル化の恩恵

昨晩、宅配便のピックアップを、「宅急便」(登録商標)で知られる運送会社のK社に依頼した。このK社は、以前(といってもかなり前だが)、「暮らしの手帖」の商品テストでダントツの評価を得ていたし、宅配を創業したといって良い会長の著作を読んで多くを学んだこともあっては、ほぼ一択で利用している。当然、Kメンバーズに登録もしている。
メンバー登録していると、以前に発送したことがある友人宅に荷物を送るために必要な手続は、ウエブ上で、僅か2回ボタンを操作するだけですむ。これで指定した日時に荷物をピックアップしに来てくれて、指定した日時に荷物を届けてくれる。K社のシステムはとてもよくできていて、荷物をコンビニに持ち込む場合は、携帯のQRコードを読ませるだけだし、自宅で紙の伝票を打ち出して使う場合も、登録してある住所を使うなら、住所などの入力作業は必要ない。
紙の伝票に毎回相手の住所と自分の住所とを手書きしていた頃を思い出すと、これがデジタル化されたサービスのメリットだとつくづく思う。弊所も、受任した事件の管理や、それに伴う送り状や請求書の発行などの作業は、全て一元化しており、原則として、一度入力したデータを再度入力する必要がないようにしている。事務所の5桁の案件番号を入れれば、クライアントの担当窓口や各種番号、それに出願番号、公開番号、事件の名称などは、自動的に参照されるから、最初の入力時に十分な注意を払っておけば、その後の送り状の発送や請求書の発行といった作業の際に、誤ったデータが使われる可能性はほぼ零だ。元帳さえ日々更新していれば、複数の案件の一部に古いデータが残っていたといったこともない。手書きや手入力といったアナログ的な処理と比べて、こうしたデジタルデータの処理のメリットは大きい。民間の企業では、省力化のためのこうしたシステムの導入や日々の改善・管理は当たり前のように行なわれている。
翻って、公的なサービスはどうか。最近、区役所で住民票と印鑑証明を取る機会があったのだが、住民票を取得するための用紙、印鑑証明を取得するための用紙のそれぞれに、私は、自分の住所と名前を繰り返し手書きしなければならなかった。2枚の用紙は、同じ窓口に差し出すにもかかわらず、だ。そして、本人証明は、マイナンバーカードの裏面に表記された住所と名前を、窓口担当者が目視することで行なわれた。なんたるアナログ処理。どんな理由があるかは知らないが、少なくとも用紙は1枚で足りる。住民サービスの向上などと言いながら、同じ住所と氏名を何度も手書きさせてなんとも思わないのだろうか。
政府は、このところ思い出したように、マイナンバーカードの普及に旗を振り、ポイントを付けるなど無意味な施策に励んでいるが、便利なら、K社の宅配システムのように誰でも喜んで使うだろう。ポイントを付けて、カード取得を促しているということは、デジタルデータの利用がなされておらず、カードによる利便性がないことを自ら認めているようなものだ。区役所の窓口で、マイナンバーカードを利用すると、住所や氏名は書く必要がなく、カードを窓口に出して、申請用紙の「住民票」「印鑑証明」という欄に枚数を書いて渡せば、必要な書類が出てくる、最低限そういう対応がなされるべきだし、もしそうなっていれば、カードを使おうとする人は増えるだろう。
私は、マイナンバーカードを、運用開始の直後から使っている。利用の経験から、カードのセキュリティのあり方など、言いたいことは山ほどあるが、それはさておき、デジタル化の恩恵をもっと身近なものにして欲しい。老い先の短い身にとって、無駄な手書きに費やして構わない時間など残っていないのだから。[ T.S ]

 

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投稿日:2022年11月29日