ドイツ ミュンヘン 海外研修(トレーニー)

弁理士

ドイツの特許法律事務所(Winter Brandl et al.)に6ヶ月間滞在し、OJTおよび各種セミナーを通じて、EPおよびドイツの実務について学んだ。OJTとしては、クレームドラフティング、中間応答方針のディスカッション、応答書類のドラフティング、審判・異議申立書類のドラフティング、口頭審理への参加等を行った。

期間

2006年7月1日(出国)から2006年12月31日(帰国)までの6ヶ月間。

派遣先

 ドイツの特許法律事務所、Winter Brandl Fürniss Hübner Röss Kaiser Polte Partnerschaft(以下、Winter Brandl et al.)。Winter Brandl et al.は、ミュンヘン市内およびミュンヘン近郊のフライジング市内にオフィスを有するが、垣見は主としてフライジングオフィスに通った。

住居

 ミュンヘン市内の長期滞在用アパートメントホテル(Winter Brandl et al.推薦)。アパートからWinter Brandl et al.のフライジングオフィスまで、Sバーンおよび快速列車(RE)で約1時間かけて通勤した。

OJT

(1)OJT
 Winter Brandl et al.のフライジングオフィスにて実際の業務を行いながら実務を学んだ。
 最も多い業務は、EP出願の中間処理であった。EP出願の中間処理では、EPOからオフィスアクションを受け取ったら、応答方針を考えてドイツ人弁理士とのディスカッションを行い、コメントおよび応答案を作成した。その他、クレームドラフティング、審判・異議申立書類のドラフティング、口頭審理への参加等も経験した。

(2)各種セミナー
 Winter Brandl et al.が主催するマンスリーセミナーの他、ミュンヘン市内およびフライジング市内の他事務所(TBK、Kuhnen&Wacker等)が主催するセミナーに参加し、EPおよびドイツの実務について学んだ。

感想

(1)事務所について
 派遣先のWinter Brandl et al.には、日本人所員はおらず、また他のトレーニーもいなかったため、最初はストレスも大きかったが、反面、ドイツ人所員と比較的深く関わることができ、結果的に非常に良かった。
 例えば、昼休みには、ほぼ毎日、所員数人と共に肉・魚屋に行ってサンドイッチをテイクアウトし、食べながらカフェへと向かい、カフェでゆっくりしてから事務所に戻っていた。この時間は、貴重なドイツ語(および英語)の練習時間であった。また、弁理士の部屋に実務について質問しに行っても、こちらが心配になるくらい時間をかけて答えてくれることが多く、とても多くのことを学んだ。
 仕事の時間以外でも、クラシックコンサートや自転車レース、パーティーに連れて行ってくれたり、自宅に招待してくれたりして、個人的な交流を深めることができた。帰国後、ドイツ人弁理士が来日する際には、私の自宅に招待したりしている。

(2)ドイツについて
 ドイツでは、賃金水準は日米より低く、また可処分所得の割合も低いため、皆が比較的シンプルな生活をしているように感じた。その代わり、過剰に長い時間働くことなく(平日の19時以降や日曜日は開いている店が無いこともその一例)、休暇(年間6週間)をしっかり取る。このような点は、日本とは異なると感じた。
 ミュンヘンは、ドイツの南端に位置する人口130万人のドイツ第3の都市であるが、ごみごみした感じは無く、また市民も陽気で人なつっこい人が多いため、都会という感じはしない。公園や美術館が多く、治安も良い、非常に住みやすい街であった。気候は、とても乾燥し、気温は日本より低い。ただし、滞在した年は、真夏(7月)は非常に暑く、8月に急に涼しくなったものの、9月・10月と平年より4℃位気温が高めの暖かい秋となった。さらに、11月・12月も何十年ぶりの暖冬となり、例年11月には雪が降る所だが、一度も雪を見ずに帰国することとなった。