非圧縮性ピボットを備えたシザー端部を捕獲された折り畳み可能なキャノピー骨組構造体事件

  • 日本判例研究レポート
  • 知財判決例-審取(当事者係)
判決日 2012.10.25
事件番号 H23(行ケ)10432
発明の名称 非圧縮性ピボットを備えたシザー端部を捕獲された折り畳み可能なキャノピー骨組構造体
キーワード 進歩性
事案の内容 無効審決に対する審決取消請求事件であり、特許権者の請求が認められた事案。
引用発明及び周知技術において、本件特許発明の課題と解決手段について記載も示唆もないため、引用発明の構成を本件特許発明の構成とすることは容易に想到できないと判示された点がポイント。

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【経緯】

平成 9年 4月11日       特許第2625255号 設定登録 (以下、本件特許)

平成20年11月6日       被告が無効審判請求

平成21年 3月3日       本件特許の訂正請求

平成21年 9月7日       訂正を認める。特許第2625255号の請求項1~12に係る発明についての特許を無効とする、旨の審決

平成22年 1月15日       審決取消訴訟(平成22年(行ケ)第10011号事件)を提起

平成22年 3月4日       特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審判を請求

平成22年 3月29日       審決を取り消す旨の決定(特許法181条第2項)

平成22年 8月30日       本件特許の訂正請求

平成23年 2月10日       訂正事項3乃至4及び9乃至12については、訂正を認め訂正事項1乃至2及び5乃至8については訂正を認めない旨、および、本件特許の請求項1,3,6~9に係る発明について無効とする旨、の審決

平成23年 4月11日       審決取消訴訟(平成23年(行ケ)第10117号事件)を提起

平成23年 4月12日       訂正審判の請求

平成23年 6月23日       審決を取り消す旨の決定(特許法181条第2項)

平成23年 7月19日       本件特許の訂正請求(以下、「本件訂正」)

平成23年11月 7日       訂正を認める。本件特許の請求項1~6に係る発明についての特許を無効とする、旨の審決(以下、「本件審決」)

 

【特許請求の範囲】(本件訂正後)

【請求項1】

折畳まれ,そして折畳まれた状態で保管され,そして支持面上に展開された状態で組みたてられるようになった展開可能な骨組構造体であり,前記支持面の上方にキャノピーカバーを支持することができる骨組構造体において,

(a)各々が支持面上に配置可能な下端部と,前記下端部と反対側の上端部とを有する複数個の直立した支持部材(14)を備え,前記支持部材(14)は折畳まれた状態で相互に相並ぶように向けられ,そして展開状態に向かって相互に離れて外方に移動可能であり,各支持部材(14)は断面矩形状であり,さらに,

(b)複数個の端縁シザー組立体(第2a図の19)を備え,一つの端縁シザー組立体が前記支持部材(14)のうちの隣接した支持部材(14)を相互に連結し,各々の前記端縁シザー組立体が1対の外側上端部(図4aの44)および1対の外側下端部(図4aの46)を有し,前記端縁シザー組立体は開閉するように作用可能であり,それにより前記骨組構造体は展開状態と収縮状態との間を移動することができ,展開状態において前記端縁シザー組立体の外側側面全体が前記キャノピーカバーに覆われ,各々の前記端縁シザー組立体は上端部及び下端部において相互に連結されたシザーユニット(40)により構成され,前記シザーユニット間の連結部は構造を補強するための更なる直立した支持部材(14)により前記支持面上に支持されておらず,前記骨組構造体全体が展開状態において4個の直立した支持部材(14)によってのみ支持されており,さらに,

(c)(図10)前記の直立した支持部材(24)上に配置されかつ前記端縁シザー組立体(19)を前記支持部材に締め付けるように作用する複数個のマウント(60,62)を備え,該各マウントは前記支持部材が嵌合される断面矩形状の中空部が形成された収容部(114)を備え,前記マウントの各々は,隔置された平行な側壁部分(121、122)により形成され,互いに直交する一対のソケット(120)を有し,該一対のソケットの側壁部分(121,122)はそれぞれ前記収容部の前記中空部を囲う側壁に平行であり,前記端縁シザー組立体の各々はその平行な向き合った側壁部分の間に締り嵌め係合されるように前記ソケットのうちのそれぞれの1個のソケット内に受け入れられる長方形横断面の外側端部を有し,それにより前記の平行な側壁部分と共に平面状の接触面を形成し,さらに,

(d)前記端縁シザー組立体の各々の外側端部(44、46)をそれぞれのソケット内に枢動可能に固定する締付ピン(図10の140)を備え,前記平行な側壁部分と接触する前記外側端部表面に突起が存在せず,前記端縁シザー組立体を構成するシザーバー(41,42)は中空部(70)を備える管状構造であり(図5),

(e)1対の前記マウントが前記の直立した支持部材の各々の上に配置され,前記の1対のマウントの一方が固定マウント(60)であり,そして前記の1対のマウントの他方がスライドマウント(62)であり,前記スライドマウントが前記の直立した支持部材(14)に滑動可能に固定されかつそれぞれの前記端縁シザー組立体が開閉するときに前記支持部材(14)に沿って前記固定マウントに近い位置と前記固定マウントから遠い位置との間に移動可能であり,

(f)(図8、10)前記固定マウント(60)に一対のソケット(120)が直交して形成され,該一対のソケットの各々において平行な側壁部分(121,122)は,その上端部において水平な壁部(124)で相互に連結され,(図11)前記スライドマウント(62)に一対のソケットが直交して形成され,該一対のソケットの各々において平行な側壁部分(161,162)は,その下端部において水平な壁部(164)で相互に連結され,

(g)前記固定マウントの各々は,それぞれ直交する一対のソケットの中央部に,隔置された平行な側壁部分により形成される中央部のソケットを有し,該中央部のソケットは前記側壁部分を連結する水平な壁部を有さず,

(h)前記マウントは前記骨組構造体が展開し,そして収縮するときに前記端縁シザー組立体を開閉させるように相互に関して相対移動可能であり,一方ソケットの平行な側壁部が平面状の接触面に沿って外側端部(44、47)に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止し,

(i)(図8)前記の固定マウント(60)の前記収容部(114)が,前記支持部材(14)に沿って前記スライドマウントの方向に向かってすべての前記ソケットを超えて延び出しており,

(j)(図22a,図23)骨組構造体が展開状態にあるときに前記の直立した支持部材(14)により支持面の上方に支持されるルーフ支持組立体(50)を含み,前記ルーフ支持組立体が前記キャノピーカバーを支持するように作用し,前記ルーフ支持組立体が頂点を形成するためにその近位置端部において相互に枢動可能に連結され,かつ展開状態にあるとき相互に離れて半径方向に外方に延びる複数個のルーフ支持部材(402)を含み,各々のルーフ支持部材(402)がその遠位置端部(410)において前記の直立した支持部材(430)上の前記固定マウント(420)の中央部ソケット(424)に枢動可能に連結されており,

(k)支持部材(14)の前記下端部各々が,前記固定マウント及び前記スライドマウントとは別部材であり,貫通孔を有して前記支持面と係合するプレート状部材を備える骨組構造体。

 

【審決の理由】

(1) 別紙審決書写しのとおりである。その概要は,以下のとおりである。

ア 本件特許発明1は,甲1(実願昭62-157952号(実開平1-61370号)のマイクロフィルム)に記載された発明(以下「引用発明」という。)及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 本件特許発明2は,引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 本件特許発明3は,引用発明,甲2(特開平1-142183号公報)記載の発明及び周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ 本件特許発明4は,引用発明,甲2の記載事項及び周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 本件特許発明5は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

カ 本件特許発明6は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

キ したがって,本件特許は,特許法123条1項2号に該当し,無効とすべきものである。

(2) 上記判断に際し,審決が認定した引用発明の内容,引用発明と本件特許発明

1との一致点及び相違点は以下のとおりである。

ア 引用発明の内容 ← 省略

イ 引用発明と本件特許発明1との一致点及び相違点

(ア)一致点 ← 省略

(イ)相違点

a 相違点1

本件特許発明1では,マウントがソケットを有し,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されており,中空部を備える管状構造のシザーバーから構成される端縁シザー組立体の外側端部が該ソケット内に受け入れられて,平行な側壁部分が平面状の接触面に沿って外側端部に作用して前記端縁シザー組立体の横方向のたわみおよびねじりによるたわみを阻止するのに対して,引用発明では,端縁シザー組立体の外側端部がソケットを有し,マウントもシザー組立体も中空部を備える管状構造の部材ではなく,マウントが該ソケット内に受け入れられて,平行な側壁部分が平面状の接触面を形成するものの,その平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されておらず,たわみを阻止するかどうか不明な点。

b 相違点2

c 相違点3

 

【原告の主張】

1.取消事由1:本件特許発明1と引用発明との相違点を看過した誤り

2.取消事由2:本件特許発明1と引用発明との相違点1ないし3に関する容易想到性判断の誤り

 

【当裁判所の判断】

当裁判所は,以下のとおり,原告ら主張の取消事由2に理由があり,審決を取り消すべきものと判断する。

1 取消事由2(本件特許発明1と引用発明との相違点1ないし3に関する容易想到性判断の誤り)について(引用発明、甲4,5,7,9)

(1) 相違点1について

原告らは,審決における課題の予測性,構成の周知性及び置換の容易性について

の判断には誤りがある旨主張するので,検討する。

ア 認定事実

本件特許発明1、引用発明は省略

a 甲4

「1.考案の名称 折畳み式ベンチ」(明細書1頁)

「本考案は数人で腰掛けせられるベンチを横方向にワンタツチで開展折畳みせられると共に体積も最小限に縮小せられて携行収蔵に至便であり然も部材の種類が少なく且組立て作製も容易にして安価堅牢なこの種折畳み式ベンチを提供するものである。」(明細書2頁)

 

b 甲5

「(1) 発明の名称 折畳み仮設建物 」(明細書1頁)

「・・・第3図の 6は外柱として 7の中柱を外柱内部に差し込み 土台及び桁 合掌等を9の取付プレートに10の取付ボルトにて接続し 8の芯柱を7の中柱内部を通して 建物上下(土台部分 小屋部分 桁部分) を組合せる又8の芯柱は 6の外柱最上部及び 最下部の各内部に固定金具を設け 芯柱が外柱最上部以上 又は最下部以下に抜け出さないようにする。(略)(判決注 第3図,第4図及び第7図は別紙3(2) のとおりである。)

 

 

 

c 甲7

「1.発明の名称 アンブレラ テント」(明細書1頁)

「各リブ22の端部の中間にはピボツト ブラケツト26が固着されている。第11図にもつともよく示されているように,このブラケツトは断面がほぼC字形である。ブラケツトの閉端はリブの中間部分を受入れるために縦グループを備えている。リブは前述したねじと同様にねじのような手段でブラケツトに固着されている。ブラケツトの離間した端部はそれらの間にカプリング部品の外部部分28を自由に受入れている。ブラケツトの離間した端部とカプリング部品にある整合開口はピボツト ピン30を受入れ,それによりカプリング部品はブラケツトに回動可能に固着されている。」(明細書4頁右上欄)

 

d 甲8

「1.考案の名称 折り畳み式腰掛け」(明細書1頁)

 

 

e 甲9

「1.考案の名称 折り畳み椅子」

 

 

イ 判断

(略)

すなわち,本件特許発明1は,支持部材の下端部が支持面である地面に係合され,上端付近(支持面の上方)にキャノピーカバー等が配置される骨組構造体であることから,風力等によりシザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じ得るという課題を有するものであり,マウント(連結装置)の「平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されて」いる構成は,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を有するものであり,連結部分の構造を改良・強化することにより,課題を解決する手段であるといえる。

(中略)

そうすると,引用発明は,止め孔を通じて支持面に定位され,風圧等による横方向の力の影響を受けやすい構造体の上部に屋根等が配置される(第1図ないし第6図)ことから,風圧等によるシザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形をも考慮して,構造体の補強を指向するものと一応認められる。しかし,引用発明の上固定支えバー軸体,下活動支えバー軸体(本件特許発明1のマウントに相当すると認められる。)は,端縁シザー組立体の外側端部がソケットを有し,上記バー軸体が当該ソケット内に受け入れられるものとなっており,かつ,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されていない構成であるところ,甲1には,かかる構成が,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を有すること及びそのために連結部分の構造を改良・強化するものであること(本件特許発明1の課題と解決)については,記載も示唆もされていないというべきである。

また,上記ア(ウ) 認定の事実によれば,甲5,甲7及び甲9には,ソケットの平行な側壁部分が上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結されている構成が示されておらず(この点は,被告も特に争っていない。),また,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じさせるような力に対する考慮も示唆されていない。また,甲4及び甲8には上記構成と同様の構成が示されているが,以下のとおり,本件特許発明1や引用発明において想定される,シザー要素の上記の変形を生じさせるような力の作用を考慮した連結装置を開示するものとはいえない。

すなわち,甲4記載の折畳み式ベンチは,交錯状に集交した脚管の端部の連結器具として軸受け盤の軸受けは平行な向き合った側壁部分を有し,その下端部が相互に連結されているが(第4図),携行収蔵に至便,組立て作製も容易なように,脚の下端が接地面(支持面)に固定される構成は有さず,脚の上下端に脚管が連結されて骨格を構成してベンチに作用する力を支持し,傾倒破損を防止する効果を有するものといえる。

また,甲8記載の折り畳み式腰掛けは,その脚部が,筒体の下部で筒体の内部に上下に摺動可能に嵌挿された脚部保持体を有し,脚部保持体は,平行な向き合った側壁部分の下端部が相互に連結されているが(第7図),より一層軽量且つ小型に構成され,簡便に携帯可能なようにしたものである。

そうすると,上記ベンチ及び上記腰掛けは,上記の構成,目的及び用途からして,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を生じさせるような態様の力が作用することは想定しがたいものであって,甲4及び甲8に,そのような作用を想定した連結装置が開示ないし示唆されているとは認められない。

以上によれば,甲1には,本件特許発明1のマウントに相当する上固定支えバー軸体,下活動支えバー軸体の構成により,シザー要素の横方向の変形およびねじりによる変形を阻止する作用を有することは格別記載も示唆もされていないから,甲1に接した当業者が,かかる変形を阻止するために,さらに,上記軸体の構成を,相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることに容易に想到するとは言い難い。

また,仮に,甲1の記載から,引用発明における上記軸体の構成を変更することの示唆を得たとしても,上記のとおり,甲4,甲5,甲7ないし甲9は,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結された構成は示されていないか,シザー要素の上記の変形を阻止する作用を考慮したものではないから,これらに記載された技術を引用発明に適用することが容易とはいえない。したがって,甲4,甲5,甲7ないし甲9には,骨組み構造のたわみやねじりに対する強度を向上するための枢軸構造として「ソケットの平行な側壁部分の一端を水平な壁部で相互に連結」された構造は開示されていないとして,引用発明において,連結装置を,側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成に置換して,相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることは困難である旨の原告らの主張には理由がある。

これに対し,被告は,①折り畳み可能な骨組構造体の技術分野における通常の知識を有する当業者にとって,折り畳み可能な椅子の骨組構造体に関する技術知識を有していたと合理的に判断でき,その技術知識に基づけば,甲4及び甲8記載の水平な壁部での連結構造を引用発明に適用するのは極めて容易である,②「側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成」は,たわみを阻止するという作用効果を発揮させる上で特段の意味を持つとはいえず,引用発明において,強度の向上を図るため当業者により適宜採用される設計事項にすぎない旨主張する。

 しかし,上記①の主張につき,甲4及び甲8には,ソケットの平行な側壁部分は上端部又は下端部において水平な壁部分で相互に連結された構成が記載されているとしても,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を阻止する作用を考慮したものではないから,当業者が,甲4及び甲8記載の技術知識を有していたとしても,それを引用発明に適用することを容易に想到し得たとは認められない。また,上記②の主張につき,本件特許発明1において,連結装置に関する「側壁部分が水平な壁部で相互に連結される構成」は,平行な側壁部分を連結してこれを補強するものであることは当業者にとって明らかであるから,シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を阻止するという課題の解決手段であり,発明の特徴点といえる。甲1,甲4,甲5,甲7ないし甲9において,構造体の強度の向上を図るとの課題は示唆されるとしても,かかる一般的な課題から,シザー要素の上記の変形を阻止するとの課題が当然に発想され得ることを裏付ける証拠はないから,連結装置に関して上記構成を採用することを,当業者が適宜採用する設計事項と認めることはできない。よって,被告の主張は失当である。

したがって,本件特許発明1と引用発明との相違点1に関する審決の容易想到性の判断には誤りがある。

 

6 結論

以上のとおりであるから,原告ら主張の取消事由2に理由があり,その余の争点について判断するまでもなく,審決は違法として取り消されるべきである。被告は,他にも縷々反論するが,いずれも採用の限りでない。よって,審決を取り消すこととして,主文のとおり判決する。

 

【感想】

 本件発明1の解決課題(シザー要素の横方向の変形及びねじりによる変形を阻止すること)は、周知技術(甲8等)には開示されていない。

 本件は、課題を解決するための構成も作用的ではあるが、構成(h)として記載されているため、引用発明に周知技術に開示の構成を適用することが容易ではないとした判決は妥当であると考える。

 また、物(構造)の発明の際に、作用的な記載であっても、発明の構成として認められている点で参考になる。

 物の発明についてのクレームや明細書を記載する際に、構成自体で発明を特定することに加え、作用的な記載で発明を特定しておくと良いと感じた。