中国出願の2番目以降の独立請求項に従属項を追加する自発補正について

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1.目的

日本では、2番目以降の独立請求項(例えば、方法を規定した請求項)に対して1番目の独立請求項(例えば、装置を規定した請求項)の従属項に対応した従属項を作成することなく、特許出願を行う場合がある。

しかしながら、上記の日本出願の内容で中国出願を行い特許が付与された場合、訂正を行う際に2番目以降の独立項については適切に訂正ができない可能性がある。

よって、中国出願において適切に訂正を行えるようにするための方法を以下に説明する。

 

2.前提

(1)中国出願では、拒絶理由の応答時に請求項の追加はできない(多項従属を解消する場合を除く)。

また、特許の訂正の時期及び方法は、以下に限定されている。

<特許の訂正>

①無効審判の中でのみ、請求項の補正(訂正)が可能

②訂正の方法は以下のa~cのみに限定される注1)、注2)

a.請求項の削除

b.請求項内の並立する技術方案の削除(マーカッシュ形式等の選択肢の削除)

c.請求項の併合(例えば、独立請求項1に従属する請求項2,3の両方を独立請求項1に追加することが可能)

注1)明細書中の記載から請求項を減縮訂正することは認められない。但し、最高人民法院において、請求項に記載した数値範囲を限定する訂正が認められた判例がある(最高人民法院2011年10月8日裁定 (2011)知行字第17)。

注2)訂正できるのは請求項のみであり、明細書の訂正はできない。

 

(2)一方、出願当初の特許請求の範囲では、2番目以降の独立請求項について従属請求項が作成されていない場合がある。

従って、以下の自発補正期間①~③のいずれかにおいて、2番目以降の独立請求項にも従属請求項を設けておくことが好ましい。

①PCTの国内移行の場合に、移行手続き完了後1ヶ月以内

②実体審査請求と同時(出願日又は優先日の早い方から3年以内)

③実体審査移行通知の受領日から3ヶ月以内

 

(3)自発補正により請求項を追加しても請求項加算は無い(請求項加算は、出願時の見かけの請求項数(最後の請求項番号と同じ)に加算されるだけであり、その後の補正によって請求項数が増加しても追加費用は不要)

 

以上