このところ報道を目にしない日は無い「熊」。
 漫画「ゴールデンカムイ」では、熊--それもヒグマ--が隠れた主役といっても過言ではないほどその生態を含めて細かに描かれています。たとえば、獲物の食べ残しを埋めて「土まんじゅう」を作ることや、巣穴に入って来た生き物は襲わないことや、頭蓋骨はとても硬く、狙って発砲しても弾が跳ね返って逆にこちらが危ないことがあることや、走る速度は車並みといった具合に、多岐にわたって描かれています。
 もっとも、そもそもヒグマは本州に生息していませんし、本州に生息しているツキノワグマだって今まで遭遇したことはありません。私が住んでいる地域(名古屋市近郊)は、標高200m弱の低山まで数km離れており、まずツキノワグマに出会うことはまず無いと思います。職場の名古屋市中区はいわずもがな、です。
 ただ、今後、紅葉狩りやハイキングなどで山に出かける機会がないとも限りませんし、「アーバンベア」と呼ばれるように、ものおじせずに都会に出没する熊が増える可能性も十分あります。熊と対峙したときどうするか、を予めシミュレーションしておくことは大事ですよね。少しネットを検索すると、「急に動かない」「顔を隠すようにうつ伏せになって両手で首を守る」など対処情報は得られます。しかし、実際に遭遇したら恐怖で一歩も動けない、或いは、背中を見せて懸命に走って逃げることしかできず、ゴールデンカムイで描かれているとおりに追いつかれ、襲われる--そんな展開になってしまう予感がします。せめて熊鈴を身に着けて熊スプレーを準備しておこう。

 さて、熊には出会いたくありませんが、別の野生動物に図らずも出会うことはあります。数年前ですが、自宅の庭に日本猿が現れたそうです。日中の出来事で私は自宅にいなかったのですが、家人が目撃しました。また、同様に家人がヌートリアを目撃したそうです。私は、帰宅時に自宅の近くの道路上でハクビシン(おそらく)を目撃したこともあります。近くの公園にはイノシシが出没したという話も聞きました。数年前、実家の長野に帰省した際に、山のふもとまで湧き水を汲みに行ったのですが、水を汲んで車に戻ろうとしたら身長1m弱の生き物が道路の真ん中で仁王立ちしてこちらを見ていました。こちらの視線に気づいてすぐに逃げてしまいましたが、おそらくたぬきではないかと思います。その他、リスやカモシカなどを、長野では道路脇に見かけたことがありました。もちろん、最近はだいぶ減りましたが野良猫も見かけます。
 人間以外の野生動物に出会うと、ここが人間だけの世界でないことに改めて気づかせてくれます。そして、こちらに気づいて逃げる野生動物を目撃し、また、人間に臆しない熊を報道で目の当たりにすると、人間も生態系の一部に過ぎないことを自覚してもう少し謙虚にならなければいけないのかな、と感じたりもします。[S.K]

 ※熊被害に遭われた方、そのご家族の方に、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

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