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知的財産普及の道は険し
ここ6年ほど、日本弁理士会において知財金融の普及を進める委員会の活動、スタートアップ・中小企業の知財経営支援を行う知的財産経営センターの活動に携わり、これまで知財と関わりを持っていない機関・企業に対して知財を活用してもらう活動に精を出している。
特許事務所や企業の知的財産部においては、日常業務として毎日当たり前のように接する知的財産であるが、ひとたび、知財村を離れると、知的財産とは無縁の世界が広がっている。無形資産である知的財産は、その把握・認識が容易でなく、また、事業活動において本領を発揮する知的財産は、事業・経営に携わらない人々にとって、意識しなくても日々は過ぎていくためと考えている。
例えば、金融機関においては、顧客の業績が順調であれば、知的財産の貢献にまで目を配ることはなく、知的財産と事業良好の相関関係を検討することは、本業から離れた、面倒な作業に他ならない。本業において知的財産を上手く活用できるスキームを例示しない限り、良好な関係は一時に終わってしまう。
同様に技術系の大手企業の経営層であっても、知的財産の重要性は十分に認識されていないようである。事業の成否は、事業計画および事業遂行にあることは確かであり、この点ばかり注目されるが、事業遂行を上手く進めるために知的財産が黒子としてサポートしているのも事実である。知的財産の活用が当たり前の海外マーケットにおいて、知的財産を活用していない企業は、業績を伸ばす前に市場に参入することも困難になる。
無形資産である知的財産の普及は一筋縄ではいかない。[Yo.I]