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CDやソフトのコピーに思う

 我が家の子どもたちがまだ小学校の高学年か中学に入ったばかりの頃、よく「お父さん、このCD、コピーできる?」と聞かれた。そのたびに、市販のCDのコピーはできないよ、と答え、「どうして?」と尋ねられる度に、「著作権があるからね」という説明はしたが、それよりなにより、「お父さんは、こういう他人の知的な仕事の成果を守る仕事をしているんだよ。自分が、他人の仕事を大事にしないで、みんなに『守ってください』とは言えないよね。自分がまず守る、そして君や君の友達、その家族、みんなが知的財産って大事だね、と思ってくれれば、お父さんの仕事も上手くいくんだ」と話してきた。子どもたちにそれがどの程度通じたかは分からないが、そんなやり取りを数回すると、子どもたちは、「CDをコピーできる?」とは、もう聞きに来なくなった。
 何年かして、下の娘が大学に入り、学部に上がり、自分の専門分野で使うソフトが必要になったとき、娘から、「1本2万円するけど、買わなくちゃダメだよね。お父さん、働くようになったら返すから、購入代金を貸して」と言われた。聞けば、同じ学科のメンバーは、何人かで1本買い、コピーしようと話しているという。学生には、確かに1本2万、というのは負担だろう。でも、自分がその分野で働いていくために必要不可欠なものだというなら、なぜ対価を払わない。不法なコピーを使っていたのでは、やがてプロになって自分の仕事をリスペクトして欲しいと願っても、通じるはずがない。ソフトウェアを正規に購入する費用は、将来の自分の専門性への投資なのだ。娘の同窓生に、そう話してやりたかった。
 ネット時代になって、知的財産の枠組みは、大きく揺れている。動画再生サイトでは、不法なコピーかどうか、いちいち考えていることは確かに難しい。しかし、それでも基本のところ、自分の仕事に含まれる知的活動を他人にリスペクトして欲しかったら、まず自分が他人の知的活動を尊重しようじゃないか、ということは変わらない。娘の働く姿を見ながら、あの頃の会話を思い出し、改めてそう思う[ T.S ]

 

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投稿日:2015年09月29日