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２年後の訪問
１９９０年４月にパートナーも含めた５人で名古屋で開業し、その後はそこそこ順調に仕事の依頼もあり、平和な日々を送っていた。土曜日に出勤する程度の仕事量はあったものの、毎日３時にはみんなで事務所の接客コーナーで集まってお茶やケーキを楽しむ余裕があり、また、夕方５時～６時には事務所を出て帰宅していた。
開業から２年ほど経った或る日、パートナーに一通の電話が掛かってきた。話の様子がちょっとおかしいので気に掛かる。
「さっきの電話、誰から？」
「Ｍ社のＫ課長さん」
「Ｍ社とはつきあいが無いけど、何の話？」
「『明成さんを訪問してお話ししたいことがある』って。『何のお話ですか？』って聞いたけど、『内容は直接会ってお話したい』と言って聞かせてもらえなかった。」
「なんだろう？何かＭ社さんに非難されるようなことしたかな？」
「ウーム…分からないな……」
数日後、Ｋ課長が見えてパートナーが応対し、私も同席した。
「実は、Ｍ社の仕事をお願いしたいと思っています。やってもらえますか？」
「えっ、え～と、いまはある程度の仕事があってそれなりに忙しくしているものですから…、お引き受けできるかどうか…」
「えっ、そうですか？年間何件ぐらいならできますか？」
「あまり沢山はできないと思うのですが…」
「うーむ…。以前の仕事振りを拝見していて、是非また仕事をお願いしたいと思っていましたが、開業されてから２年は依頼を出せないことになっているので、いままで待っていたのですが、困ったな…。今日直ぐでなくて結構ですので、後日お返事をいただけますか？」
「はい、ありがとうございます。良く考えてお返事します。」
その後、みんなでもっと頑張って仕事をすることで或る程度の件数を引き受けることとし、Ｋ課長に伝えたところ、めでたくＭ社の仕事を依頼して戴けることになった。パートナーのおかげで、開業２年後に、またとても良い顧客に巡りあえたのであった。[ Ｔ．Ｉ ]
投稿日:2016年01月26日
