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身体の動きを学習する
最近は、孫のおもちゃを、あれこれ作っている。最初のうちは、手に持って音が出るものを作ったりしていた。
しかし、あっという間に這い這いをするようになり、足の親指でしっかり蹴れるようにしたいから、傾斜板を作ってくれと娘に言われた。作ると、廊下を這うときは使っていなかった足の親指を、傾斜板を登るときには確かにしっかり使うようになった。
そうこうしているうちに捉まり立ちするようになり、今度は、肋木もどきを作った。内側に取り外しできるステップを付けて階段にし、反対側に這い這い練習用に使った傾斜板を付けて滑り台にした。出来上がった頃には、歩くようになっていたが、階段を登るのは大好きなようで、親の見守るなか、楽しそうに遊んでいる。
歩くといっても、もちろんまだ危うい。見ているとハラハラするが、何もかも、指一本動かすことさえ、こうやって一つずつ覚えていくのだと深く納得する。骨格、筋肉、神経網、と言うハードウェアは汎用性が高く、脳との間でフィードバックを繰り返しながら、あらゆる動きをこうやって習得していく。覚えてしまえば、当たり前になる。何も考えずに動けるようになる。そうやって成長していく。自分の体の動きをもう一度考えるようになるのは、アスリートとしてさらに高い次元に自分の身体能力を引き上げようとするときか、老いて身体が動かしにくくなったときか。
孫と私の誕生日は偶然にも同じ日なので、孫との間には、丁度６５年の隔たりがある。この一年、片や身体の新しい動きを学ぶために遊び、片や身体の失われそうな動きの維持に心を砕く。それが、生き物の姿なのだ、という納得の中にいる。[ Ｔ．Ｓ ]
投稿日:2020年12月22日
