2024年3月
« 2月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

検索

カテゴリー

トピックス

老人の繰り言

 事務所で、新人教育の一環として、簡単な電気の基礎知識などを教えている。トランジスタやNANDゲートなどの論理回路素子の働きなどを教えているうちに、何か作りたくなった。電子工作は小学校6年くらいからやっていたが、最近はあまり凝った物は作っていない。
 そこで、子どもにプログラミングの考え方を学習させるおもちゃを構想した。左右独立に駆動できる車輪を備えた車の上に3×10列くらいのマス目を用意し、そこにパチンコ玉のような鉄球を置くことで、「直進」「右回転」「左回転」「停止(玉を置かない)」を指定する。この鉄球の配置を順次読み出して車を自走させれば、鉄球の配置が、車の動きを決めるプログラムになる。
 設計図と回路図は簡単に書けたが、いざ作ろうとしたら、トランジスタや論理演算素子が簡単には手に入らない。もうほとんど市場から消えようとしている。個人で回路を組んだりする人も減っているそうだ。
 それでもアメ横の電気街に行き、何とかパーツの大部分は揃えたが、10列のマス目の設定を順次読み出して行くためのデータセレクタが見つからない。TTLにあったはずだとデータブックをひっくり返してみると確かにデータセレクタというICはある。しかしその素子を売っているところが見つからない。探していたら、LEDを順次点灯させる素子が見つかったので、これで代用できないか検討しているところだ。
 私たちの子どもの頃、あるいは、学生の頃は、「子供の科学」や「模型と工作」と言った雑誌があり、色々な工作をした。その後、マイコンブームがやってきて、「RAM」や「I/O」といった雑誌が生まれ、マイコンの周辺機器をつくったりしたものだ。ボード型のマイコンを組み立て、コンソールに代えてフルキーボードを接続できるように改造し、7-セグメントのディスプレイをCRTに代えるインタフェースを繋ぎ、初めて、ブラウン管に、C:>という緑色のプロンプトが表示されたときの興奮をまだ覚えている。ああいった電子工作は、最近はどうなっているのだろう。パーツを組み合わせて自分の思うままのものを作って行く楽しみは、私などには、大きな喜びだが、もう絶滅危惧種なのだろうか。秋月電子通商が営業している限りは、まだ希望があるのか。
 どんな大規模な回路や電子機器であっても、大本の基礎のところは同じはずだと思うのだが、その基礎を学ぶ実物がなくなっている。車軸の回転方向が正逆どちらかをどうやって知るのか、電極に生じる放電のエネルギはどうやって測っているのか、といったことを知らなくても、明細書は書けるのかも知れないが、そしてそれが、「進歩」なのかもしれないが、なんか寂しい気がする。
 あー、もはや老人の繰言。ちぇっ [ T.S ]

 

トピックス

投稿日:2018年06月05日