2024年4月
« 3月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

検索

カテゴリー

トピックス

米国特許法101条に関する司法判断の影響

 今回は、特許業務に関するトピックスを1つ。現在、恒例のシリコンバレーへの出張中である。訪問先で話題になるのは、米国特許法101条に関するここ数年の判決である。日本の知財関係者であれば、米国特許法101条に関するUSPTOの姿勢、連邦地裁の姿勢、CAFCの姿勢、米国最高裁判所の姿勢、について常々キャッチアップを行っているので、概要は理解しているはずである。
 しかしながら、今回、現地の特許事務所を訪問したことで、日本からでは見えない現実問題について認識させられた。日本から見ていると、単に、USPTOにおける判断基準の問題とか、現状における米国特許法101条の支配的解釈は面倒であるといった程度の認識を持つに留まるのが通常であると思われる。これに対して、米国国内の特許出願に与える影響は極めで大きい。そもそも、大手IT系企業は、特許制度に対して否定的な立場を採っており、今回の潮流を受けて、ソフトウェア系の出願を止めている。シリコンバレーにおいては、インパクトはかなり大きい。これに対して、これまで特許を取得することで大手に対抗してきたスタートアップ企業や、ベンチャー企業は、弾を無くすことになり、益々大手IT系企業の独壇場になると思われる。
 「25年間特許法101条は何も変わっていないんだよ!」と、言われた(叫ばれた?)ときには、確かにその通りであり、法的解釈によってこれほどまでに産業構造に影響を与えて良いものか?とも感じた。USPTOの最近の方針転換はさておき、CAFCにおいて、ソフトウェア発明に対しては、基本的に特許法101条が適用される、という判断が大勢を占める以上、権利行使を諦めなければならない結果となる。パテントトロールは問題ではあるが、ビジネスを模索しているベンチャー企業にとっては大きな痛手であることは想像に難くない。一方で、数年後には逆の解釈が大勢を占めることになっているかもしれず、そこを見越して、少なくとも権利化を目指す企業も存在する。
 さて、数年後、米国におけるソフトウェア発明を取り巻く環境は、どのように変わっているのであろうか。[ Yo.I ]

 

トピックス

投稿日:2019年10月10日