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私のおすすめ:リーダーズ英和辞典と(今はなき)sii電子辞書

今回は、おすすめシリーズです。
 
二十数年前、私が大学に入って最初の英語の授業で、
先生は、辞書を1冊取りだして言いました。
「最近、こういう英和辞典が出ました。
 見てみたところ、技術用語などもたくさん載っている、大変よい辞書です。
 君たちは工学部で、べつに英文学とかをやるわけではないのだから、
 言葉の来歴などが詳細に載っている英和辞典ではなく、
 こういう辞書を使わなければいけない。」
 
なるほど、というわけで、
さっそく大学生協で購入しました。
 
それが、リーダーズ英和辞典(初版)でした。
 
リーダーズ英和辞典は、
技術用語だけでなく、
英語世界に取り込まれて使われているフランス語やラテン語なども
一部、載っていて、
百科事典のような傾向をもった辞書です。
 
気に入って、その後ずいぶん、活用しました。
 
たとえば、リーダーズは、
大学院の入試のときにも、本来の役割を越えて活躍してくれました。
 
自分が持っていた小ぶりの独和辞典(木村・相良)が充実しておらず
(当時は木村・相良がまだ主流の一つだったのです)、
ドイツ語の問題(もちろん、技術的な内容が扱われている)を理解するのに、
知りたい単語があまりにも載っていないため、
途中でその独和辞典には見切りをつけて、
知りたいドイツ語の単語から英単語を推測して、
リーダーズを引き引き、ドイツ語の問題を解きました。
 
試験科目は「外国語」というくくりで設定されており、
その中で英語の問題とドイツ語の問題を好きな順番で解く、
というものでした。
 

大学入試まで使っていた英和辞典も決して悪い辞書ではありませんでした。
 
たしか、
平凡社の大百科事典(大判で何十冊もある)の付録の小ぶりの英和辞典で、
父がくれたものでした。
 
これは、
英単語に対して、
翻訳の際にその英単語を置き換えるのに使える日本語の単語が
いくつか対応づけられて載っている、
という構成ではなく、
「この英単語は、日本語ひとことでいうと、こういう感じの意味である」
という日本語
(わりと抽象的で、かならずしも、翻訳で使いやすい単語ではない)
が最初に大見出しとして太字のブロック体で1,2個載っていて、
その下に、中見出しとして、
「より細かく分けると、
 こういう感じの意味で使われる場合もあるし、
 こういう感じの意味で使われる場合もある。」
という、先の日本語の下位概念的な日本語が掲載されており、
その後ろに、細かい日本語の言い換えが載っているという構成の、
英語の単語の意味を分からせることに重点を置いた辞書でした。
 
とても好きでしたが、
ずいぶんボロボロになっていたので、
本棚には引き続き、いていただきましたが、
メインはリーダーズとなりました。
 

その後、
弁理士試験に受かってから、
リーダーズは第2版が出ました(1999年)。
もちろん、すぐに買いました。
 
初版のリーダーズに対しては、
あまりに専門的すぎて載せなかった単語を集めた、
「リーダーズプラス」という拾遺集的な辞書があったのですが、
リーダーズ第2版は、
「リーダーズプラス」の内容も一部とりこんだものでした。
 

そして、
ついに2001年に電子辞書SR-9200(セイコーインスツル製)が登場しました。

もちろん、それまでにも電子辞書はありましたが、
電子辞書用に用意された簡単な英和辞典や
書籍版もあるけれども、学習用の小さい英和辞典が入っているもので、
「自分が気に入っている辞書が載っていないのであれば意味はない」
と思ってほぼ無視していましたが、
とうとうリーダーズ英和辞典を搭載した電子辞書が発売されたのです。
 
これも、わりと出てすぐに買いました。
 
この電子辞書は、
アメリカの法律事務所にトレイニーとしていったときにも、
一緒に連れて行き、
どこに行くにも持って歩いて、ずいぶん活躍してくれました。
 
ただ、会話の補助に使うには、
起動が遅い、というのが玉に瑕でした。
また、ボディが樹脂製でしたので、その点も、寿命に影響したと思います。
 
ずいぶん使いましたが、
蝶番のところで配線が切れたのか、液晶画面がつかなくなって、
引退しました。
 
そして、
リーダーズ第2版とリーダーズプラスが搭載された
SR-T7100(2004年発売)を購入しました。
 
これは、金属ボディなので、丈夫で、
角部のメッキがはげてきてはいますが、今だに現役です。
 
にもかかわらず、ちょっと前に、次の電子辞書に手を出したのは、
ひいきのSII(セイコーインスツル)が、
電子辞書から撤退すると発表したからです。
 
それは、
リーダーズ第3版が初めて搭載された電子辞書が初めて搭載された電子辞書がSIIから発売されてから、
まだそれほど間もない頃でした(1年ちょっと?)。
 
SR-T7100が元気だからまだいいよねー、と思って、
モデルチェンジで、リーダーズ第3版搭載電子辞書が進化していくのを
待っていたのですが
(できれば、法律系のコンテンツ、
 有斐閣の法律用語辞典
 や、
 田中英夫の英米法辞典
 などが入っているモデルがでてほしかった。
 医学用に特化したコンテンツはあったのですが)、
入手できなくなってしまっては、元も子もない。
 
価格.comで取り扱い店舗が減っていくのを見て、
あわてて、エンジニア向けのDF-X9001(ニュースリリース製品紹介)を購入しました。
 
これは、それまで私が使っていたものと違って、
Androidマシンにアプリケーションソフトが乗っているという構成の
電子辞書です。
カラー液晶搭載で、辞書によっては、カラーの図版も表示されます。
無線LAN搭載で、やろうと思えば、webブラウジングもできます。
 
使ってみたら、これもかなり便利でした。
 
なんといっても、
Windowsマシンにつないで、
PASORAMAというWindowsのアプリケーションソフトから搭載辞書を検索できる
(WORDなどの横に同時にウィンドウを開いておける)のが、
大変、便利です。
 
さらに、
辞書の記載を他のアプリケーションソフトにコピー&ペーストできて、
ペーストすると、
自動的に末尾に出典が記載されます
(『ランダムハウス英和大辞典(第2版)』 小学館、など)。
 
とても便利です。
 
惜しむらくは、
SIIの電子辞書は、もう市場にはほとんど出回っておりますまい。
 
わがリーダーズ愛を受け止めてくれる存在として
長年ともに歩んできた
SII電子辞書との歩みもこれまでです。
 
セイコーインスツルの遺産、
SR-T7100と、
(SR-T7100よりは少々ひ弱な感じがする)DF-X9001が、
末永く私の手元で活躍してくれるのを祈るばかりです。
 

いまやネットの時代であり、
コンテンツはクラウド上においてあって、
端末からアクセスできればよい、
というのは分かるのですが、
私としては、自分が気に入った辞書を、
出版社を越えて選びたいのですよね(できれば、お安い価格で)。
 
もう少し待てば、そういうサービスもでてくるでしょうか。[ K.H ]

 

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投稿日:2016年08月02日