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弁理士の仕事

「文は人なり」という言葉がある。もうこれも死語に近いが、文章には書き手の人となりが現れるというほどの意味だろう。どんなふうに現れるのか、と言われも困るが、文には人柄のなにがしかが現れるのではないだろうか。
最近は、人工知能の第何回目かブームだそうで、自動運転を初め、人が介在しない処理や仕事の自動化が取りざたされている。しかし今のところ、特許事務所は、ほとんど機械化されていない。確かに、パソコンだのファックスだのは使っているが、明細書や特許用の図面は、担当者が一語一語を、あるいは一本の直線や曲線を積み上げて作り込んでいる。フローチャートから明細書として必要な説明を自動的に生成する機械はできないものかと考えたりするが、今のところ、そうしたソフトができたという話は寡聞にして知らない。
明細書に関していえば、確かに似た技術というのは存在するから、既に出願され公開された明細書の一部をコピー&ペーストすることもないとは言えない。しかし、シリーズものなどを除けばそうした使い回しができるものはほとんどない。いきおい、明細書の文章は、弁理士が一語一語、蚕が繭を作るように紡いで行かざるを得ない。仕事を依頼して下さるクライアント(多くは製造業)と比べたら、特許事務所の自動化は、遙かに遅れている。ほぼ手作りの職人レベルだろう。
明細書として書いている内容は、多くは「発明」だから、その分野の最先端の筈だ。それこそ、ディープラーニングの明細書を書くこともある。内容は、最先端の技術なのに、その説明はほぼ100%手作り、という構図は、考えてみるとなかなか面白い。しかし、弁理士個人が、こつこつと明細書と図面を作り込んでいく、という業態は簡単には変わらない(と思っている)。
特許事務所はそんな風に仕事をしているから、そこで働く弁理士の人となりを知って頂けたら、という意図が、弊所のこの「トピックス」というコーナーには込められている。取り上げる話題、書きぶり、長短などは、様々だが、そうした文章の端から、クライアントの知的財産を、言葉や図面で説明し、権利として守っていこうとする弁理士の人となりを感じて頂けたら、と願っている。「文は人なり」と書いた時点で、旧態依然、とばっさり判断されそうな気もするけど。[ T.S ]

 

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投稿日:2016年08月16日