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夏への扉

 きっかけは、この春、長男が高校を卒業し、自分がその頃に読んだことを思い出したから、というのと、山下達朗さんの今年のコンサートに無事申し込みでき、それが当選したこと、夏のような暑さの日が最近多くなってきたこと、なんだと思います。ロバート・A・ハインラインの「夏への扉」(ハヤカワ文庫SF)をおよそ30年ぶりに読み直してみました。「山下達朗さんのコンサート云々」というのは、本著にインスパイアされた曲、その名も「夏への扉」がアルバム「RIDE ON TIME」(1980年)に収録されているからです。
 
 ここで本著の筋や感想を述べてネタばれさせるつもりはありません。
 とはいうものの、さわりだけ述べると、1970年に主人公の技術者ダン・ディビス(30代)は、家事サポート用の装置を発明・製造してある程度成功を収める。しかし、共同経営者との意見の相違から会社を追い出されてしまう。追い出されたことをきっかけとして(色々とあり)、ダンは、30年の冷凍睡眠(コールドスリープ)に入り、2000年に蘇生される。2000年の世界においてダンは、・・・とここまでにしておきます。コールドスリープ、タイムトラベル、ロボットなどが登場するSF小説です。1956年にアメリカで発表されました。SF好きの方はもちろん、猫好きの方もおススメです。福島正実さんの翻訳版を読みました。
 
 読んでいて、リッキィが長女に、ピートが昨年他界した愛犬「ゆうき」に、それぞれダブって思えてきましたが、それ以上に、およそ30年ぶりに読み直してみて、登場する色んな装置について興味をもってしまったのは、職業柄からでしょうか。
 例えば、ダンの会社が最初に成功を収めた市販器である「文化女中器(ハイヤード・ガール)」は、要はお掃除ロボットで、「一日24時間静かに汚れを求めて動き、動力が切れることに自動的に所定の場所に戻って動力をチャージする」んだそうです。それって、私の自宅にもあるあの円形のお掃除ロボットでは。
 また、文化女中器、窓拭きウィリィの完成の後、ダンが開発に着手する「万能(フレキシブル)フランク」は、人間が手動操作で万能フランクに或る動作を一度行わせると、その動作を学習して同じ動作を行うことができるようになるそうです。機械学習の一歩手前でしょうか。。
 
 私が生まれてもいなかった50年代に想像する1970年代の未来の装置と、そのさらに先の2000年の未来の装置。2018年の今となっては、いずれも過去の装置ですが、すごいと思ったのは、そんな昔、50年代に夢と思われていたモノの一部はちゃんと実現されているところです。その一方で、「実際の2000年はもっとすごいことになっているよ」と思われる描写もありました。当時の想像を超えた発達ですね。
 この小説に限らず、過去のSF小説やSF映画等SF作品で未来のモノとして描かれている物で、現在に実現されている物も数多くあると思います。案外、過去のSF作品の中に、まだまだ良いアイディアがあるのかもしれませんね。[ S.K ]

 

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投稿日:2018年04月24日