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ペット(その2)

 その時は突然やってきた。ミキは、私のベッドの下で寝ることが多く、その日は友人が泊まりに来ており、私はベッドの横の床に布団を引いて寝ていた。明朝、朝からとても暑い8月の一日、ピチャピチャという音で目を覚ますと、私の枕元付近にネズミのような小動物らしきものが2つほど並んでおり、よくよく見ると生まれたての子犬であった。目はもちろん開いておらず、耳の穴も塞がっていたことは今でも良く覚えている。とにかくびっくりし、親を起こしに行き、家族皆で出産が無事終わるまで見届けた。結局、雄が2匹と雌が2匹生まれた。雄2匹は、「あくたろう」、「あくのすけ」、雌2匹は、「マコ」、「チエミ」と名付けられた(女の子の名前の由来はご想像にお任せします)。信頼されているからなのか、生まれながら穏和な性格なのか、親犬であるミキは、生まれたての子犬を触っても怒ることはなかった。
 子犬4匹のいたずら力は相当にパワフルである。部屋の中にある植木の土は掻き出され、あるときは、畳表が一枚、見事にめくれ上がっていた。子犬4匹はどこでも寝てしまうので、帰宅時には踏まないよう、先ず、4匹の点呼をとらなければならなかった。
 あくのすけ、チエミは人の言葉を良く理解し賢く、あくたろう、マコは憎めない愛らしい性格の持ち主であった。あくのすけ、あくたろうは、知人にもらってもらい、マコとチエミを我が家で育てることになった。あくたろう、あくのすけがいなくなった数日、2匹寄り添い庭を眺める残されたマコとチエミの背中が寂しげであった。
 犬4匹の散歩は、鵜匠さながらのリード裁きが要求される。ミキ、マコ、チエミはシェルティと同じくらいの大きさであり、大五郎を加えるとそこそこのボリュームの一行となるので、散歩の途中、出会う人に良く声を掛けられた。当の本人は慣れているので、それほど大変な作業とは思っていなかったが、中型犬4匹の散歩は傍目には大変に思えたのであろう。
 マコとチエミの寝床は、私のベッドであり、さすがに2匹が寝ると、掛け布団を引き上げるのも、寝返りを打つのも大変であった。
 命の誕生があれば終焉もある。先ずは、大五郎が14年目に永眠した。最後は白内障が進み、痴呆も入りそれなりに大変であった。当時は規制も緩く、火葬も容易に行えたので、火葬した上で遺骨を骨壺にいれた。火葬には、会社を休んで父も参加し、内心、驚いたことを覚えている。
 次に、マコが13年目に永眠し、ミキが続いた。マコは突然、息を引き取り、ミキは最後に深く深呼吸をして息を引き取った。チエミは、昔、ミキと喧嘩した際に右上の犬歯を折っており、その影響か最後は痴呆が酷く辛かったことを覚えている。そのチエミは、16年目に息を引き取った。
 ミキ、マコ、チエミの生存中、実は、他にも2匹の犬を保護している。白い雄犬(プー)は、妹一家に育ててもらい、真冬に側溝に捨てられていた生後3ヶ月ほどの子犬(モモ)は妹に拾われた。残念ながら、モモは直ぐに息を引き取ってしまった。実はその年に、父が50歳にて他界しており、モモは、そろそろ前を見てしっかり進んで行け、というメッセージを伝えるために現れたのかと思ってしまった。
 現在、我が家には、13年ほど前の正月に妹によって保護された、雌犬(ビッキー)が大きな体で、大きな顔をして在籍中である。振り返ってみると、小学校4年生から40年余り、犬なくして暮らした時期はなく、大五郎を除き、全ての犬が拾われた雑種である。本文章中では「犬」という表現を用いているが、我が家では家族の一員であるから、常に(怒るときも)、ファーストネームで呼び、幼稚園生に話すように話しかけている。
 なお、余談であるが、他にも、猫が6匹共同生活を営んでおり、とても賑やかな毎日を過ごしている。[ Yo.I ]

 

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投稿日:2016年05月10日