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プロダクト・バイ・プロセス・クレームについての最高裁判決

 2015年6月5日に、最高裁が、プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて画期的な判決を出した。プロダクト・バイ・プロセス・クレームとは、「原料Aを、200℃、3気圧で、4分間、加熱加圧して製造したB剤。」のように、作り方(プロセス)によって、もの(プロダクト)を特定したクレームのことだ。

 この判決は、従来の特許庁での審査のあり方に修正を迫るばかりで無く、今後の侵害訴訟の結論にも大きな影響を与える。それどころか、この判決の意味するところを最も広く解すれば、従来の特許の多くが無効理由を含むものになりかねない、という心配をしなければならないものだった。

 弊所では、早速、この最高裁判決を、所内の勉強会で取り上げると共に、最高裁判決を受けて、今後の明細書および特許請求の範囲の作成方針を取りまとめ、主要なクライアントに提案した。また、更に7月6日に、特許庁からの、「ブロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する当面の審査の取り扱いについて」という通知が出されたのを受けて、この特許庁の審査の指針を踏まえ、上記作成方針を改訂した(詳しくは、別掲の「最高裁判決を踏まえたプロダクト・バイ・プロセス・クレームに対する対応方針(第2版)」(2015年7月21日)参照)。

 

 法治国家である以上、最高裁の判決の意味は重い。長年に亘って、特許庁が、「プロダクト・バイ・プロセスクレームは、こう解釈します」と言い、審査基準を作成・公表して、その審査基準に従って、様々な発明を特許してきたとしても、行政庁である特許庁が作成した審査基準の考え方自体が、司法によって否定されてしまう、ということは生じ得る。

 我々弁理士は、通常は、行政手続の1つである特許出願手続を代理人として行なうので、特許庁が示している審査基準を遵守して、手続を代行するが、いざ侵害訴訟になった時に、それは司法の話しだから知りません、という訳にはいかない。司法の判断を常に参考にしながら、日々の業務を行なわなければならない。判決の研究が欠かせない所以である。[ T.S ]

 

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投稿日:2015年09月01日