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 このところ毎年恒例で参加していた山下達郎さんの名古屋でのコンサートに、今年はちょっとした手違いで行くことができませんでした。代わりに、という訳ではなかったのですが、手違い無く申し込んでいたサカナクションのコンサートに初めて参加しました。
 
 山下達郎さんのコンサートは、お客さんの平均年齢が50近い私よりも高いことや、じっくり歌・音を楽しむファンが多いこと、さらには、当のご本人がお客さんに対して「1曲目から立ってると大変でしょ。座ってらっしゃっていいんですよ」のようなセリフをコンサートのMCで話されることもあり、アンコールまでは座って聴くことができます。
 それに対してサカナクション。お客さんの平均年齢は、たぶん30代前半。メンバーが暗闇の中をステージに上がるよりも前、1曲目のプロローグ的な旋律の最初の音が鳴り、光の演出が始まるやいなや全員総立ちです。前が見えなくなるから必然的に私と妻も立ちます。それからアンコール終了まで手を振りその場でリズムを取っての3時間近く。爽快感はありましたが、その後2週間位、膝周りが筋肉痛で少しだけ大変でした。
 
 ネタばれになるかもしれませんが、7/7にツアーの全日程が終わっているはずなので、サカナクションのコンサート内容について若干書きます。
 実はそれほどファンではない私は、ヒットした曲は多少知っているものの、その他の曲は全く知らない状態でコンサートに臨みました。コンサートが始まるやいなやMC無しで何曲も続きます。ヒット曲のPVで見る世界観そのもののように、良い言い方をすれば芸術寄りのハイセンスな楽曲。うがった見方をすれば、一般受けのしないような実験的な楽曲と歌詞。なんだろう、孤独というか内省的というか。昭和歌謡とは真逆の世界観。ステージ手前におろしたメンバーが透けてみえるスクリーンに、曲に合わせて創られたストーリーの無い心象風景的な映像を映しての演奏が時々混じりつつ、MC無しで淡々と曲が続く。その演奏にお客さんはノリノリです。???世代が違うのかな。これが楽しい?昭和40年代前半生まれの中年には難しいのかな・・・なんだか悲しくなってきましたし、「どうだ、僕らの世界観に浸りやがれ」的な感じすらしてきて、だんだん腹が立ってきました。で、本編が終わってアンコール。「もう帰ろうか」と思いましたが、もはやこの状況をネタにすべく、どんな感じで最後まで行くのか見てやろうと思いました。
 
 やっぱりすごいよ山口一郎さん(サカナクションのリーダーです)。ちゃんとファンを楽しませることを分かっていらっしゃる。「10周年ということで、本編は、世間に見せているバンドの印象そのままにMCも無くクールに演奏してきましたが、ここからは、MCを混ぜつつ10周年記念イベントをやります!」と、急にアットホームな感じに。ファン投票で選ばれた楽曲が書かれたボールが入ったボックスから山口一郎さんがボールを一つ取り出してそこに書かれている楽曲をアンコール曲として演奏するイベントが行われました。また、選ばれた曲を作ったときの様子や苦労話を話されてから演奏されました。
 するとどうでしょう。あんなに否定的な見方に至っていた僕(および妻)は、一気に、「いい曲だね。すごく感動した」とまで思えるようになっていました。本当に同じバンドが演奏する曲とは思えない曲に聴こえてきましたし、このアンコールのための本編だったか、と思えた位です。
 
 好みなのかもしれませんが、他を圧倒するクオリティのアウトプットだけでは、瞬間的には好きにはなるかもしれませんがファンにはなれず、やっぱり、そこにどのような考えや努力があるのかをさりげなく伝えてくれるとファンになってしまうようです。
 
 それを、僕の仕事にあてはめると、、、ということはしません。あくまでも個人的な趣味の音楽の話です。でも、事務所のファンが増えたらうれしいな、増やしたいな、と思っています。なので、少し参考になりました。[ S.K ]

 

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投稿日:2017年08月08日