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パートナー制

 我々の事務所は当初からパートナー制を採用している。1990年の創立当時は日本国内ではパートナー制の特許事務所はまだ少なく、弁理士法が改正されて法人化できるようになったのも設立から10年後のことである。パートナー制の良いところはいろいろあるが、世代を越えて引き継いでゆきやすいところが最も大きな利点だと思う。創立時のパートナーがくたびれてきたら、次の世代のパートナーに運営を任せ、その後も次々と若い人に引き継ぎながら運営を続けてゆける。
 ある程度年をとったらパートナーを退いて、水戸黄門的な立場で軽目の仕事を続けながら楽しく暮らす、というのが創立当初からの私の計画(理想?)であった。今から15年ほど前にアメリカ西海岸の或る特許事務所を訪問したときに、創立パートナーのW氏とこんな話をしたことを思い出す。
「最近のアメリカの景気はどうですか?お仕事は忙しいですか?」
「とても忙しいデス。最近はワタシだけ夜12時過ぎまで仕事して帰りマス。」
「創立パートナーがそんなに働いてはいけませんね。若い人が見たら『自分には無理』と思うので良くないかもしれません。私は、もう少し経ったら次の世代に事務所を引き継いで、若い人から『自分もああなりたい』と思われるような楽しい老後を送りたいと思って計画しているところです。」
 その後、次世代のパートナーが順調に成長してきたので、2年ほど前からは実権を譲り、また、収入も減らして事務所にあまり負担にならないようにしてきた。さて、そろそろパートナーを退いて…と思っていたら、ここ数年で有力な次次世代候補者が退職してしまい、当初の計画が大幅に狂ってしまった。独立開業したいと思う人が予想外に多いのには少々驚いている。事務所内の待遇などは世代交代し易いようにいろいろと工夫してきたつもりだったが、それでも独立を選択する人が少なくない。顧客からは面白い仕事の依頼も多く、また、外国出願もたくさん担当できるので、独立するよりもそのままパートナーになった方が本人のためにも良いと思うのだが…。
 当初の計画が狂ってしまったせいで、最近の私の仕事ぶりでは『自分はああはなりたくない』と若い人に思われているかもしれないと、ちょっと心配している。もっと早く楽をしたいのが本音なのだが…。[ T.I ]

 

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投稿日:2016年03月01日