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デザイナーへのあこがれ

先日、ミース・ファンデルローエへのオマージュ、という時計を買いました。ミース・ファンデルローエというのは、20世紀の建築家で、バウハウスの第3代校長、「神は細部に宿る (God is in the detail)」とか、「less is more」とか言った人です(ミース・ファンデルローエとは)。デザイナーの名前が絡んでいると、なんだかその商品の魅力が15%くらいアップして見えてしまいます。「オマージュ」などというのは、後の人からの一方的な思いであって、本人とは何の関係もないのですが。まあ、もちろん、その物のデザインが気に入ったので買ったわけで、「オマージュ」は購入動機の中のプラスアルファの部分です。
 
昔から、デザイナーへのあこがれのようなものがあって、中学2,3年のころには、ちょっと本気で「工業デザイナーになれないものか」と考えていました。デザイナーを意識するきっかけになったのは、父親からもらったルイジ・コラーニ、デザインのペリカンNo.1というボールペンだったと思います(ここここ参照)。私が持っていたのは白いものでした。「そんなに高そうじゃないのに、こんなにかっこよくて使いやすいボールペンができるのか。透明軸のボールペンとは、全然違う!」と、とても感心したものです。
 
しかし、高校進学にあたっては、「ここで、工業高校を選ぶというのも、なんだか違う気がする。」と考えて、普通科に行きました。また、当時、自分が知っていたデザイナーは、ルイジ・コラーニとジウジアーロくらい、映画のクレジットに名前が出てくるデザイナーも含めるなら、さらにH・R・ギーガーシド・ミードくらいで、他にデザイナーの名前は知りませんでした。また、自動車を作る会社である自動車会社(トヨタ自動車、本田技研など)や、家電製品を作る電機メ-カー(松下電器、ソニーなど)と違って、「デザインをやってそれで商売をしている会社」というものも知りませんでした。このため、デザイナーというのは、どういう道筋を歩んだ結果、なれるものなのか見当もつきませんでした。その状態で、「デザイナーになる」と決めてそちらに向かって進むのは、「わだばジウジアーロになる!」という生き方に近く、どうもかなり現実味がないように思えて、その後、高校に進んでからは、自分の進路に「工業デザイナー」という選択肢を入れる戦略は、自分の中からフェードアウトしてしまいました。そこで、信念を貫く人たちが、たとえば、奥山清行さんのようになれるのでしょうね。
 
その後も、高校時代には、phenixから出たI.DE.A.デザインのスキーパンツを買ってくれ、と親にねだり(これは、「誕生日プレゼントとしてなら買ってやる。だから、誕生日になるまでダメだ」というアタマの固い親父のために買えませんでした。魅力的なデザイン、機能のスキーパンツが、2月後半まで在庫があるわけがない)、大学に入ってバイクを買ったとき、一緒に買ったヘルメットは、ジョルジェット・ジウジアーロ、デザインのGX-1というモデルでした。私が持っていたのは黒のものでした。これは、買って半年もたたないうちにバイクが盗難に遭い、バイクだけはなんとか自力で探し回って見つけ出しましたが、ヘルメットはとうとう帰ってきませんでした。その後、バイクは直しましたが、貧乏学生には、GX-1を新たに買い直す資力もなく、もっと安い物を買い直しました。
 
社会人になってからも、ちょいちょいデザイナーがらみの物に惹かれて買っています。奥山清行さんの「フェラーリと鉄瓶」は、楽しく読みましたし、職場のデスクの上には、青山の岡本太郎記念館に行ったときに買った「午後の日」のミニチュアが置いてあります。
 
ところで、最も新しく私の持ち物に加わった上記のミース・ファンデルローエへのオマージュの時計ですが、買う前から、「細部のモチーフが、なんだかマックス・ビル、デザインの時計に似てるなあ」とは思っていました。しかし、マックス・ビルも、バウハウスに学び、バウハウスの先生にもなった人ですから、バウハウス的デザインというのは、こういう感じになるものなんじゃないの、と思っていましたし、あっちは三針時計だし、こっちはクロノグラフだし、まあ、いいんじゃないの、とも思っていました。しかし、最近、マックス・ビル、デザインの時計にもクロノグラフがあることを知りました。うーむ、これは...クロノグラフに必然的に要求される機能に起因する外観要素を除いて考えても、これは、「類似」なのではなかろうか、と、ちょっと気になっています。[ K.H ]

 

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投稿日:2018年05月22日