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稲穂の揺れる風景
今年の夏は、天候がおかしい。７月から８月前半に掛けて、記録的な暑さだったが、８月の下旬になると、３０度を超える日が少なく、このまま夏が終わってしまうのかという気分になる。
農村に行くと、早いところでは９月の第一週に稲刈りをする。そんな地域では、８月下旬になると、田は黄金色の稲穂が揺れ、その上を、赤とんぼが群舞している。しかし、よく見ると、ところどころ青い稲がある。ところどころ倒れている稲がある。農家の方に伺うと、７月から８月前半の高温で稲が伸びすぎたためだという。「このままだと、少し収量が落ちるナー。でもどうしようもない。こればっかりはお天道様まかせだからね」とその方は言われた。
話をしていると、「お米を作るってのは、若いときからやったって、せいぜい５０回だ。今年は上手くできた、という年は数えるほどしかなかったなー。」と言われる。確かに、米作りは、一年の仕事だ。生涯に作れる回数は知れている。
こんなに長いスパンの仕事は、今時少ない。しかも、日照や降雨量、台風の襲来など、自分の力の及ばないものに大きな影響を受ける。謙虚にならざるを得ないのだろうと思う。翻って、自分達の仕事は、とは言うまい。第１産業から遠く隔たった知的財産に係わるサービス業。比較すること自体がおこがましい。
せめて、収穫の時まで、台風や集中豪雨の来ないことを願うばかりだ。[ Ｔ．Ｓ ]
投稿日:2015年09月08日
